本研究は、大震災やトンネル崩壊などの大規模災害の被災者に対して、ロボットが人間を直接把持して救助するロボットシステムを開発することを目的としている。 本研究は3年計画であり、初年度には、被災者を直接救助する方法についての動作分析と検討を行い、救助ロボットの基本形態と機能を設計した。さらに、人間を直接把持するためのロボットハンド部と、触覚や力覚、すべり覚などのセンシング機能に関する検討を行った。 第2年度では、マルチセンサ融合処理システムを構築し、把持の方法、把持力の決定、および人間の体の引き上げ制御に対応できるようにした。ここでは、救助ロボットモデルとして、クローラによる移動機能を持つ台車に主アームとして5軸垂直多関節型ロボットを設置した。また、サブアームとして、水平関節ロボットをおいた。ロボットハンドは、順応型2本指ハンドとし、主アームとサブアーム同一形態とした。ただし、サブアームハンドはツールとして利用するため取り外し可能とした。このシステムモデルとダミー人形を用いて救助作業の基礎的な実験を行った。 最終年度では、2年度に引き続いて救助ロボットシステムモデルの完成を目指した。 1.人間の腕の把持と引き上げ制御アルゴリズムを確立し、実験によって有効性を確認した。 2.作業ツールへの展開をすすめ、ツールにおける自律・操作制御系を確立した。 3.救助搬送車から試作し、救助ロボットシステムを構築した。 以上の結果から、本研究の成果をまとめると次のようになる。 人間把持用ハンド部を取り付けた救助ロボットモデルを試作し、マルチセンサ融合と知識に基づくルールベーストおよび、操作自律強調系としての救助ロボット制御システムを確立し、モデル実験によってその有効性を確認した。さらに、その実用化に対する課題の抽出を行って研究をまとめた。
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