本研究の目的は、非線形・非平衡状態を積極的に利用する生物の持つ優れた情報処理機能を模倣したセンシング手法の実現可能性を探ることである。まず非線形振動子の例として塩水振動子と呼ばれる微小容器における塩水の流出・入の非線形振動系を用い、1〜3個の非線形振動子における実験を行った。その結果、2個以上の振動子間に相互作用があると一定のリズム(秩序)が形成されることが確認できた。次にシミュレーションにより相互作用がある9個の振動子の系における秩序を調べた。その結果、9個の振動子の系における秩序は非線形振動子のパラメータに強く依存することが明かとなった。これより、非線形振動子群における秩序状態から非線形振動子のパラメータ変動を推定できることが示唆された。また研究の課程で、非線形振動子群を実現する媒体として高分子ゲルが有望であることが明かなり、次年度からは高分子ゲルアレイを用いた実験に着手する予定である。
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