研究概要 |
pH分布変化が早い測定対象や、広い測定面積にも適用可能な走査を必要としない新しいpH分布計測法として、pH指示色素膜色変化のカラー画像と検量線とを比較する方法を提案した。本方法によって、pHの二次元分布計測の可能性を示唆した。ここでは、CCDから得られるカラー画像データ(R,G,B,256階調)のy値を算出して、y〜pHの関係を作成した。その検量線を用いて色素膜上の各画素点におけるpHを求め、その時間的変化を可視化する方法を検討した。 その結果、 (1)酸性〜中性側で使用できる色素/ゲル膜としてメチルレッド/寒天ゲル(pH4.0〜6.9)、中性〜アルカリ側で使用できる色素/ゲル膜としてフェノールレッド/寒天ゲル(pH5.5〜8.5)が最も優れている。 (2)膨潤ゲル膜(1mm厚)中で、水素イオンはまず深さ方向に拡散し、その後周囲と混合してpH変化が減少すること、膜の横方向には短時間では拡散し難いことがわかった。 本画像計測法は、pH変化が早い測定対象、および数センチから数十センチオーダの比較的広い測定面積のpHの二次元分布とその時間変化などの計測、例えば培地上の細菌、酵母菌の分布、炭酸ガスの水中溶存分布、酸性雨の影響状態の分布などの環境分布計測に応用できると考えられる。これらの分野への適用性を明らかにするには、今後以下の課題を検討する必要がある。 (3)分解能:光学顕微鏡を使用して大腸菌、イ-スト菌コロニーの観察を行うとともに、分解能を評価する。 (4)計測時間の短縮化:ソフトウエアの改良などでCCDカメラからの画像データ取得速度の向上を図ることにより、計測時間の短縮化、リアルタイム計測の可能性を明らかにすることがあげられる。
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