平成9年度にひきつづき、手のひら各部の電位、導電率測定装置の開発を行った。研究協力者の協力を得て、多くの被験者について各種状態のデータを取り、熱赤外線画像装置のデータと医師の診断結果などを参考に検討を行った結果、心身の微妙な状態変化が手のひら各部の電位の変化、導電率の変化として顕著に現れていることが分かった。例えば、肝臓病のある人では、手のひらの肝臓のツボに発生する直流電圧および導電率が左右の手のひらで大きく異なることが分かった。特にひどい肝臓病の場合は発生する電圧の極性が左右で逆になることが分かった。また、運動の前後における測定でも顕著な差違が認められた。これらの成果は学会等で報告した。 これまでの成果から、この方法が簡易的な在宅診断システムとして利用できることが確認できた。家庭で手軽に利用するには装置を十分小型化する必要があるが、電源部分の小型化が難しいことから、電源の小型化の研究も同時に行うこととした。 家庭から病院、研究機関へのデータ電送は、これまでインターネットを中心に考えてきたが、在宅医療が対象としている人々には高齢者、子供などが多く含まれることと、一般家庭でのインターネットの普及率があまり高くない現状では、信号を音に変換して電話回線から直接データを伝送する方式が最も現実的であることが分かった。
|