研究概要 |
交通荷重の増大に伴う劣化と設計荷重の増加改定に伴って、道路橋スラブの補強が大きな問題となっている。劣化スラブの補強は、大別して鋼板や炭素繊維を用いる下面補強工法と、上面にパネルを貼るD-RAP工法やSFRCを配する上面補強工法がある。これら工法の妥当性を評価する上で、基本的にスラブの損傷劣化をもたらす押抜きせん断破壊の機構的な解明が必要である。 本研究は、スラブ破壊の機構的な解明を目的として鉄筋比(1,1.5,2%の3種類)とスラブ厚さ(4,5,7cmの3種類)を変化させた小型モデルスラブ、ならびに上記各種補強方法の効果を求める目的として鉄筋比ならびにスラブ厚さを一定としたスラブに一定荷重の載荷後各種の補修を行なった中型モデルスラブに対する載荷試験を行い、一部載荷試験後のスラブの切断による内部ひびわれの観察を含めて検討を行った。 スラブの押抜きせん断破壊機構については、押抜けにより破壊するかなり以前に径方向の上縁ひずみが減少する一方で周方向ひずみは最終段階まで増加しほぼ終局ひずみにいたること、各段階でのスラブ内の主として曲げによるとみられるひび割れの進展がこのようなひずみの変化と関係づけられること、ならびに最終的な押抜き破壊面は強度破壊点で急激に進展することが判明した。一方、上面増厚による補修はスラブ厚さを増厚分だけ増加させたものとほぼ同じ補強効果があること、下面増厚では曲げひびわれの拘束による剛性増大の効果があることなどが判明した。
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