若材齢高強度コンクリートの圧縮ならびに引張クリープ特性について、(1)載荷応力が少なくとも強度の40%以下の範囲ではクリープは戴荷応力に比例する、(2)クリープ特性は戴荷時材齢1〜2日付近で大きく変化する。戴荷時材齢3日以降は、クリープ特性の変化は小さい、(3)圧縮クリープと引張クリープとは大きな差異は認められない、(4)若材齢高強度コンクリートの基本クリープ評価式を最終クリープ量とクリープ進行関数の積で与えることができる、などの知見を得た。 応力反転が生じるような変動応力下のクリープ評価について、(1)重ね合わせ法による算定値は、応力反転直後のクリープ量をやや大きく評価する傾向にあるが全般的には実測値とよく合致した、(2)時間硬化則ならびにひずみ硬化則による算定値は、いずれも実測値より小さくなる。特に、応力反転にともなうクリープひずみの反転量を著しく小さく評価する傾向にある、(3)時間硬化則とひずみ硬化則によるに大きな差異はない、(4)時間硬化則とひずみ硬化則を適用するには、応力反転にともなう材料の軟化現象を適性に考慮する必要がある、などの知見を得た。 自己収縮応力の算定法について、(1)JCI法を用いて水セメント比30%の高強度コンクリートに材齢7日で最大1.5N/mm^2、材齢60日で最大2.2N/mm^2の自己収縮応力が発生することを確認した、(2)水セメント比30%の高強度コンクリートのクリープ特性から算定した有効弾性係数を用いた増分法により自己収縮応力を精度よく算定することができる、(3)自己収縮応力の実測値から算出した弾性係数低減係数は、温度実測値から算出したものに比べてやや小さな値となる、などの知見を得た。
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