研究概要 |
水セメント比の小さい高強度コンクリートでは、セメントの水和反応に起因する自己収縮が大きくなるとともに、乾燥の影響を受け難くなる傾向がある。このように高強度コンクリートの収縮特性は普通コンクリートの場合と比べて著しく異なる。本研究では、高強度コンクリートの収縮ひずみの予測式を構築するための基礎資料を得ることを目的とし,水セメント比20〜60%のコンクリートの収縮ひずみに及ぼす乾燥開始材齢および相対湿度の影響について実験により検討した。 水セメント比が小さいほど全収縮に占める自己収縮の割合が大きくなりること、乾燥開始材齢が終局ひずみに及ぼす影響は比較的小さいこと、水中養生中は膨張が生じるかもしくは収縮が減少するが、乾燥開始後の収縮が大きいため全収縮はシール養生した場合と同程度となることなどが明らかとなった。高強度コンクリートは若材齢で自己収縮を生じた後,高湿度環境下では膨張ひずみに転じる場合があることも明らかとなった。 さらに、得られた実測値と既往の予測式から求めた計算値を比較検討した。その結果、従来の収縮ひずみの予測式(土木学会式、RILEM French Chapter 式)をそのまま高強度コンクリートに用いると,乾燥開始後の収縮ひずみを精度良く予測できないことが明らかとなった。 以上のことから、本研究では、体積変化を生じない相対湿度という概念を導入し、これを水セメント比毎に設定することにより収縮ひずみを比較的精度良く推定することができることを提案した。
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