| 研究概要 |
平成9年度は異方弾性体における波動解析プログラムコードの開発を中心として以下のような成果を得ることができた.
1.体積を持つ欠陥を含む無限弾性体に対する波動解析プログラムを開発した.手法は選点法を用いた境界要素法である.空洞による平面波の散乱問題を解析した結果,異方弾性体特有の散乱パターンが得られた.次年度に行う予定だった波動の可視化の一部については本年度に前倒しして実施した.
2.き裂を含む無限弾性体に対する境界要素解析プログラムを開発した.手法はガラーキン法によって正則化された境界積分方程式法である.これによって,比較的低次の形状関数を用いた場合でも異方弾性体におけるき裂先端での応力拡大係数を精度良く求められるようになった.
3.水浸超音波法によって異方性材料における波動伝播に関する基礎実験を行った.伝搬方向の違いによる波動到達時間の差異など,異方性材料での波動特性の解明のための基礎データを収集した.
なお,半無限異方弾性体における解析コードの開発については本年度中に完成させることができなかったので,次年度へ持ち越すこととした.次年度以降,異方性パラメータを様々に変化させて解析データを収集し,超音波非破壊評価における異方性の影響を検討するとともに,実験との対応をとる予定である.
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