研究概要 |
本研究は2年計画の初年度で,本年度は,ソケット内部でストランド分解されたケーブルの安定した定着を確保するために,注入モルタルの高強度化,高強度モルタルを中詰め材とした緊張試験を行った.さらに,緊張メカニズムを解析的に明らかにするために,剛体ばねモデルによる検討も行った. 1.中詰め材として使用されるモルタルは高強度化とともに流動性も要求される.モルタルの高強度化にはシリカフュームを,流動性確保には高性能減水材を使用して,配合試験を行い,ソケットにポンプ圧入するために必要な流動性を有し,圧縮強度75MPa以上の高強度モルタルの配合と材料特性を明らかにした. 2.高強度モルタルを中詰め材に使用して,ソケット内部のケーブルをストランド分解した場合の緊張試験を行った.モルタルの高強度化のみでは引き抜けが大きく不十分な結果となったが,ストランドの端部をわずかに素線に分解することにより,十分な耐荷特性が得られることが明らかとなった. 3.ケーブルの引き抜け挙動を解析的に明らかにするために,剛体ばねモデルによる数値解析を試みたが,ケーブルとモルタル間のすべり性状などが,不明確なために,未だ十分な結果を得るまでには至っていない. 4.高強度モルタルの配合や材料特性および緊張試験結果については,平成9年度の土木学界全国大会ならびに西部支部大会で発表しており,さらに,平成10年度のコンクリート工学論文集に掲載される予定である.
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