研究概要 |
本研究では、断面辺長比2,4の矩形断面の空力特性と流れの状態をつかむために2次元解析と3次元解析を行い、これらの結果と既存の風洞実験結果および煙風洞での流れの可視化との比較を行った。なお、年初の計画では並列円柱を扱う予定であったが、基本的な断面形状を把握する必要が生じたので、矩形断面を検討することとした。 この結果、偏平箱桁橋に代表される、剥離せん断層が断面前縁で剥離し、断面表面に再付着する矩形断面の正確な空力特性と流れの状態とを数値流体解析で表現する場合には、ある一定のレイノルズ数範囲では3次元解析が必要なことがわかった。主要な結果を以下に示す。 (1)レイノルズ数800を越えた付近から3次元的な流れである軸方向変動流が発生する。2次元解析の適用範囲は、レイノルズ数800以下と考えられる。 (2)3次元解析は、風洞実験結果で示されている空気力特性および流れの状態を定性的に捕らえている。また、前縁で剥離した剥離せん断層が、2.5D〜3.0Dの間で再付着をしている。2次元解析では、この現象を捕らえることは不可能である。 (3)平均圧力係数は、矩形断面前面以外は、2次元と3次元解析とでは全く異なった分布を示す。特に、2次元解析は、変動量が大きい。これが、2次元解析が空気力を過大または過小評価する要因の一つである。 (4)2次元解析では、前縁で剥離した剥離せん断層が、3次元解析や風洞実験で示されている再付着点よりもかなり前方で付着している。さらに形成される渦が強いことから、表面の圧力変動も大きい。これが、変動揚力に高周波成分を生じさせる原因の一つと考える。2次元解析では軸方向変動流を表現できないので、エネルギー散逸を正しく評価できないことによる。
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