再付着型の充腹断面の基本断面である断面辺長比B/D=4.0の矩形断面を用い、数値流体解析結果の妥当性の検証を目的として、構造物用低速風洞で比較的大きな模型を用いた静的三分力試験を実施した。一方、数値流体解析は、細かい間隔での迎角毎の3次元数値流体解析を実施して、それらの両者の結果より、数値流体解析の定量的な評価を試みた。さらに、風洞実験においては、断面の表面圧力の変動も計測し、時間平均値のみではなく時間変動量の評価を行うことも併せて実施した。これにより、現状での数値流体解析に残された検討項目を明らかにすることができた。 (1)レイノルズ数の違い:矩形柱断面は一般的にレイノルズ数依存性が少ないと言われているが、定量的な評価を行うためには両者のレイノルズ数をできる限り近づける必要がある。高レイノルズ数解析のためには、より微細な分割やLES等の乱流モデルの導入が必要となる。 (2)閉塞率の違い:風洞実験は4.2%、CFDは5%であるので、迎角が大きくなるに従いこの差が顕著に影響を及ぼし、断面下側面の再付着点を後方へ移動させた可能性が考えられる。 (3)流入部分の乱れ:風洞実験の場合、一様流と言っても必ず乱れを含んでいる入力風の乱れの発生を解析条件として与える必要がある。 (4)軸方向長さの違い:流れの3次元性に着目した3次元数値流体解析が必要不可欠である。
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