研究概要 |
1.平成9年度 断面辺長比2,4の矩形断面の空力特性と流れの状態をつかむために2次元解析と3次元解析を行い、これらの結果と既存の風洞実験結果および煙風洞での流れの可視化との比較を行った。なお、年初の計画では並列円柱を扱う予定であったが、基本的な断面形状を把握する必要が生じたので、矩形断面を検討することとした。 この結果、扁平箱桁橋に代表される、剥離せん断層が断面前縁で剥離し、断面表面に再付着する矩形断面の正確な空力特性と流れの状態とを数値流体解析で表現する場合には、ある一定のレイノルズ数範囲では3次元解析が必要なことがわかった。 2.平成10年度 昨年度実施した断面辺長比4の矩形断面の空力特性と流れの状態をつかむための3次元解析を基に、3次元解析で必要な軸方向の分割に関する検討を行った。さらに、複数列並んだ並列構造の解析を実施した。具体的には、再付着が多断面であるB/D=4の矩形断面において、3次元解析を行う場合に軸方向の境界に周期境界条件を用いたときの軸方向長さに関して判断基準のための指針を得ることができた。 3.平成11年度 再付着型の充腹断面の基本断面である断面辺長比B/D=4の矩形断面を用い、数値流体解析結果の妥当性の検証を目的として、構造物用低速風洞で比較的大きな模型を用いた静的三分力試験を実施した。一方、数値流体解析は、細かい間隔での仰角毎の3次元数値流体解析を実施して、それら両者の結果より、数値流体解析の定量的な評価を試みた。さらに、風洞実験においては、断面の表面圧力の変動も計測し、時間平均値のみではなく時間変動量の評価を行うことも併せて実施した。これにより、現状での数値流体解析に残された検討項目を明らかにすることができた。
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