積層板(サンドイッチ板)は、一般に、比較的軽量で剛性の大きな材料を積層させることにより造られ、構造材料の低価格化・軽量化を計ることができるため、古くから航空機をはじめとして、車両、船舶、スポーツ用品などに広く利用されてきた。近年注目されている鋼板の間に減衰性能の大きな樹脂を挟んだ制振鋼板や、異なる金属と金属を張り合わせたクラッド材も一種の積層板と考えることができ、制振鋼板では騒音・振動の吸収という機能性が、クラッド材ではチタン等の材料を用いることによる優れた耐食性が期待できるなど、積層板にした有利性の一部が見て取れる。 本研究では、薄肉鋼板の間に廉価な異種材料を挿入あるいは鋼種の異なる薄板を積層するなどして積層板(サンドイッチ板)を製作し、得られた積層板(サンドイッチ板)が板要素としてどの程度機能性を発揮するかについて座屈強度の面から検討することを目的としている。 鋼構造物は薄板を利用することによって、軽量化が図れることは周知の事実であるが、その反面、座屈しやすくなるということも事実である。このため、鋼材を使用した構造形式としては、ハニカム構造や円筒シェル構造が採用され、板要素としては補強板や厚板要素が利用され、座屈に対する十分な配慮が常に必要であった。本研究の特色は単に同じ材料を用いて板厚を厚くするだけでは経済性が向上しないので、積層板(サンドイッチ板)の中間層の材料を廉価なものとした上で、比較的厚肉の板要素を作成し、座屈強度をそれほど低下させずに、板要素としての経済性を向上させる方策を検討した点にある。 本研究では、積層板の代表であるサンドイッチ板に限定して考察を行ったが、本研究の成果により、異種材料よりなる積層板が構造物の軽量化・合理化・低価格化に果たす役割の一部を確認できたと思われる。
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