研究概要 |
1. 研究目的 本研究では,既開発の「振動軌道上の車両走行安全限界を解析するシミュレーション・システム」の適用範囲を拡張することによって,新たに「脱線防止ガードの機能を付加したシミュレーション手法」を開発し,脱線防止ガードの評価法とその最適な設計法を見いだす.これによって,直下型地震における高速列車の脱線限界を向上する一つの手法を提案する. 2. 研究実績 昨年度に開発した脱線防止ガードの機能を付加したシミュレーションに基づいて,円弧踏面化するなどモデルに対して二三の改良を行い,実測地震波形や構造物の振動特性を変化させて脱線限界を算出した.また,直下型地震によって生じた構造物の大変形上の軌道を走行する車両の脱線限界を算出した.これらの結果,軌道の横振動に対しては,脱線防止ガードの効果は顕著に現れないが,脱線防止ガードの設置間隔をレールから60mm程度とすれば,振動加速度において約20%の振幅に対する限界の向上が見られた.構造物の大変形に対しては,これまでの設計標準で示された角折れや変位の許容値に対して2〜4倍の余裕があることが分かった. 3. 今後の研究 脱線防止ガードの効果が構造物の大変形に対して現れる効果を見いだし,まとめとして,直下型地震における高速列車の脱線限界を向上する一つの手法を提案する.
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