研究概要 |
本研究は,既開発の振動軌道上の車両走行安全限界を解析するシミュレーション・システムの適用範囲を拡張することによって,新たに脱線防止ガードの機能を付加したシミュレーション手法を開発し,脱線防止ガードの評価法とその最適な設計手法を見いだすものである.これによって,直下型地震における高速列車の脱線限界を向上する一つの手法を提案するものである.平成9年度において開発した脱線防止ガードを付与したシミュレーション・システムに基づいて,平成10年度には脱線過程における力学スキームの改良を行い,実地震波形や構造物の振動特性を変化させて脱線限界を算出した.最終年度である平成11年度には,本研究の総仕上げとして,脱線限界を向上するための脱線防止ガードの最適な設置位置やその必要剛性等を求めた.また,水平振動する軌道に対して,脱線防止ガードの設置位置や剛性の脱線限界に及ぼす影響を調べた.さらに,地震波形や軌道狂い特性及び車両諸元の違いに対する脱線防止ガードの効果を確認し,パターン化した実地震波動を与えた軌道に対する脱線防止ガードの脱線限界に及ぼす影響を調べた.その結果,提案した脱線防止ガードによる地震時の脱線限界は,列車の走行速度には大きな影響を受けず,脱線が問題となる1〜2Hzの軌道横振動の振動加速度に対して,脱線防止ガードとレールとの間隔を60mm程度とすることによって,約40%の向上が期待できることが分かった.このように本研究によって,直下型地震における高速列車の脱線限界を向上する一つの手法が提案できた.
|