2年間の研究期間の1年目に当たる平成9年度には、室内模型実験と原位置実験を実施した。 模型実験では、砂地盤の密度、マイクロパイルの本数、設置角度、曲げ剛性、周面摩擦をパラメトリックに変化させて荷重-沈下曲線を観察することによって、支持力に及ぼすそれらの効果を比較検討した。周面摩擦はマイクロパイルが鉛直に近く配置された場合に効果が大きく、また、剛性は設置角度が鉛直から30°付近でもっとも効果が大きかった。剛な粗いタイプのマイクロパイルを用いた場合には、載荷の初期段階では設置角度が鉛直から30〜40°付近でもっとも支持力が大きく、また、沈下量が大きくなると鉛直方向に配置した方が有利であった。直接基礎とマイクロパイルの相互作用も顕著であり、沈下量が大きい場合には支持力が2倍程度まで増大する効果が見られた。 原位置実験は施工法の検討を兼ねて行ったもので、試験体に対して弾性波探査を行い、杭体の形状と構造の確認を行った。さらに、動的載荷試験と静的な載荷試験を実施して、杭の支持力度およびそれにおける杭と地盤の付着力の貢献度等について検討している。 研究成果は裏面に記載した3編の論文として公表することができた。来年度は数値解析手法の開発を予定しており、本年度の実験によって得られた結果を解析的に検討する。
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