破砕性粒状体の動的力学挙動を予測するための基礎を確立するために、噴出起源の異なる5種類の火山灰質粗粒土地盤について、不攪乱試料の採取並びに一連の室内試験を実施した。さらに変位・応力自動制御装置を制作し、広範囲のひずみレベルの変形・強度特性を求めうるかを検討した。得られた主な結果は以下のようである。 (1)火山灰質粒状体の圧密・せん断による細粒分増加量は、圧密・せん断経路に強く依存する。このような応力経路依存性は、有効平均主応力と応力比のみによる指数関数式によって表すことができる。 (2)高圧下の地盤材料の場合と同様、一次元圧密過程では圧密圧力の増加にともなって粒子破砕が着実に増加していくが、特に構成粒子が脆弱な火山灰質粒状体では、圧密降伏応力を越えると粒子破砕が急増することが明確に示された。 (3)波浪のような繰返しせん断応力を受ける粒状体は、基本的に側方流動型破壊になることを、沈下土量と側方流動土量を精密に計測した模型実験より明らかにした。構成粒子が脆弱な火山灰質粒状体では、この傾向がさらに強く現れるかどうかが重要な問題である。次年度以降の検討課題である。 (4)噴出源が同じであっても、堆積条件や物理性質の違いによって、力学挙動に明確な相違がみられる。しかし、再構成火山灰土ではその影響が確実に消失する。この理由は、セメンテーション効果によるものであることが定量的に示された。ここで、不攪乱状態にある火山灰土のセメンテーション効果は、程度の差はあるものの、降下、二次堆積を問わず認められる。なおこれらの影響度は、火山灰土に含まれる細粒分の量及び圧密時間の変化に強く依存する。 (5)新たに制作した変位・応力自動制御装置を搭載した繰返し試験機は、広範囲のひずみレベルにおける力と変位を極めて高精度に制御可能であることが一連のキャリブレーション試験より示された。このことから、次年度から計画している本格的な試験への適用に目処が立った。
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