研究概要 |
本年度は,粒子が破砕しやすい「しらす」と鋼材の繰返し一面せん断試験を実施し,摩擦係数の変化と粒子破砕の程度の関係について,詳細な実験を行った。 繰返し一面せん断試験に使用したしらすは,鹿児島県姶良町で採取した一次しらすである。なお実験を行う際に粒径Dが4.75mm茨木市上の粒子を取り除いた。以下,このような「しらす」試料を未調整試料と呼ぶ。杭材として用いた鋼材は表面最大粗度R_<max>が約40μmとなるように均一凹凸加工を施してある。5種類(1,3,5,7,8.5kgf/cm^2)の最大鉛直応力σ_vを用い,せん断速度を2.0mm/min,せん断変位を片5mm(往復10mm)として,前進後退を1サイクルとした計10サイクルの繰返しせん断を行った。せん断試験中の粒子破砕の程度を調べるため,試験後のしらす試料すべて回収して,ふるい分け試験を行った。未調整試料の実験では,せん断繰返しとともに摩擦係数μ_jが増加し,最終的にはしらすの内部摩擦係数まで増加した。せん断試験後のふるい分け試験結果は,摩擦係数の増加は粒子破砕の程度と密接な関係があることを示した。 そこで,3種類の粒径D(S試料:D<0.25mm,M試料:D=0.25-0.85mm,L試料:D=0.85-4.75mm)を有する粒度調整試料を作成し,未調整試料と同様な実験を行った。粒度調整試料の実験から,1)1回目のせん断においては,粒径が大きいほど摩擦係数は大きい,2)せん断の繰返しによる粒子破砕の程度は,粒径が大きいほど,また鉛直応力が大きいほど,大きくなる,3)どの粒径でも,せん断回数が多くなると,しらすの内部摩擦係数まで増加すること,4)未調整試料の特性は,SまたはM試料の特性の特性に支配されていること、などがわかった。
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