研究概要 |
平成9年度は「リングせん断試験法の力学試験としての意義の確認・研究」のため,砂質土試料に体する,直接せん断試験や3軸試験による試験値と新規開発した推定式による値と比較した. (1)リングせん断試験機を製作し,試験した研究当初から強度が著しく過小に評価される結果が得られていた.原因は,リングせん断試験機操作における摩擦軽減が不充分な点にあると考え,試験機の点検・確認に相当の時間を費やした.結果的には,強度を推定する際に腕の長さによる補正を見落としていたことが判明して,解決した. (2)応力制御方式の付加装置を設置することはできたが,上記のため,間隙水圧計測の準備,せん断帯の確認,リングせん断試験によって実施しやすい異種材料との摩擦抵抗の評価,歪み制御式と応力制御式との結果比較等は次年の最終年度に実施することとなった. (3)替わって追加的に研究した「土の粒度分布と力学的性質の関係」から,内部摩擦角が±4度の精度で評価できる関係を究明した.これは50%粒径,均等係数Ucから算出できる「粒度評価径」に,間隙比と真比重を合わせて算出できる「間隙径深」と10%粒径から内部摩擦角が算出される. (4)摩擦角の比較観点から,修正できたリングせん断強度と直線せん断強度および前項(3)による推定値を対比して,直接せん断よりリングせん断の方が小さめになること,及び前項の簡略式による推定精度範囲内の違いであることが判明した.しかし,その物理的な意味付けの解釈は次年度に検討する予定である.ダイレイタンシー計測値の整理・分析による検討も同様である. 砂とシルトの微妙な強度(内部摩擦角)の差をリングせん断は表現できる特徴がある.
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