平成10年度は、リングせん断試験法の特性を見極めて、一面せん断や三軸圧縮試験との対比からその特徴を調べ、砂質土・砂礫に対する適用性を見極めることを第一の目的とした。つぎに、応力制御と歪み制御によるリングせん断強度の比較に替えて、せん断帯の間隙構造変化の特徴を推定・考察した。本年度の得られた成果は次のように纏められる。 ○せん断試験法としてのリングせん断試験法の特性と一面せん断の試験法との差異に関して (1) 砂質土に対するリングせん断歪みの必要な規模は、せん断歪みで0.5〜0.75(せん断変位で10〜15mm)である。粗粒材の土試料では、せん断歪み0.5(変位10mm)程度で良い。 (2) 砂質土のリングせん断試験では、鉛直歪み即ち体積変化によるダイレイタンシー補正に基づく強度の再評価の意義は少ない。 (3) 砂質土と粗粒材の配合を変えた試料に対する試験結果では、両者の個々の粒度との関係も影響するが、半々以上に粗粒分を増やさないと粗粒材の強度効果が現れない。 (4) 異種材料としての金属板との接触抵抗に関するリングせん断試験によれば、砂質土よりも粗粒土との接触抵抗が著しく低下して、推進管への砂礫の抵抗の大きさ予想とは小さかった。 (5) 一面せん断試験とリングせん断試験による強度対比の結果、前者は粘着力を過大に評価する懸念のあること、内部摩擦角も含めてリングせん断の方が良好であることが判明した。 ○せん断帯の間隙構造変化の考察 (6) 「含水比〜サクション」関係測定から間隙径分布を推定する、いわゆる「水分法」による推定手法により、直接せん断試験前後の土試料の「間隙径分布」推定結果を比較することにより、種々の興味ある結果を得たが、今後試料状態の正確な把握に課題を残している。 (7) 最多頻度の間隙径が例えば0.075mmから0.085mmへ増加するように、増加し且つ均質化する傾向にあること及び粗粒成分が多いときぜん断前後の変化が少ないこと、等が判明した。
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