兵庫県南部地震における地盤災害として砂質土の液状化の問題がクローズアップされたが、大阪湾周辺等大都市臨海部では厚い沖積粘土層が堆積している。マグニチュード7クラス以上の巨大地震下における地盤の耐震性能の正確な把握には沖積粘土の地震時地盤挙動に対する役割を明らかにすることが重要である。このため液状化に比べて手薄であった粘性土の繰り返し挙動を明らかにすると共にそのモデル化を行うことが研究の目的である。1%以下の微小なひずみから10%を越える大ひずみまでの動的な挙動を説明しうるモデル化である。このため、繰り返し載荷装置を設置した中空ねじり試験を深草粘土で行った。さらに、既往のデータとすでに提案している非線形移動硬化則に基づく弾粘塑性モデルを基礎に、新たに高周波数域におけるエネルギー消散をモデル化するため、粘弾性3要素モデルを組み込んだ繰り返し弾粘ー連塑性構成式を提案した。また、兵庫県南部地震のデータを用いて神戸市ポートアイランドにおける一次元地震時のシミュレーションを行い、粘土層のモデル化の影響を明らかにした。
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