今までに、一般応力条件下の地盤材料の弾塑性構成モデルを修正応力t_<ij>用いて開発し、盛土基礎地盤等の支持力問題、山留めやトンネルの掘削問題等に適用している。しかし、ここでも密度や拘束応力の変化の影響は直接的には考慮していない。さて、Cambridge学派による鋼球の集合体を用いたせん断試験、DesruesらのCTスキャン法による供試体内の間隙比分布の計測、石原・Verdugoによる密度および拘束応力を変えた三軸試験等から、初期の密度が違っていてもせん断ひずみが非常に大きい限界状態では応力状態と密度が一義的に決まることが実験的に確かめられている。この事実に着目して、砂の場合も粘土と同様限界状態線(CSL)の概念と硬化パラメーターとして密度(間隙比)を採用し、同一パラメーターでもモデルの中で密度の影響を自動的に考慮できるようにした。次に、従来のt_<ij>-modelは応力比の変化による異方性(誘導異方性)を考慮するため修正応力t_<ij>を導入しているが、直接的にはflow ruleの中でしかt_<ij>は使われていないので、増分形の構成モデルとしては通常のモデル同様dσ=D・dεなる形で与えられていた。ここでは、修正応力t_<ij>の特徴を生かすため、せn断中の構造変化を増分形の応力・ひずみ式に取り込みdt=D・dεなる形で定式化した。さて、従来のt_<ij>-modelによる平面ひずみ試験の有限変形有限要素解析でも今までに報告されている解析結果同様、供試体をマスとしてみたときの最大主応力面に対し45°方向にしかせん断帯発生しないが、異方性を考慮した解析では実験で観測されるような45°より大きな角度でせん断帯が発生した。そして、ここで開発した構成モデルを浅い基礎の支持力問題を含む種々の地盤の有限要素解析に適用した。
|