研究概要 |
平成10年度には平成9年度の研究成果をふまえて、主に粒状材料の弾塑性モデルを合理的に3次元化する研究が行われた Cam-clayモデルはExtended Mises型の規準を土のせん断降伏とせん断破壊に採用している。周知のように上の実測データを説明する破壊規準は、Extended Mises規準ではなくMohr-Coulomb規準、SMP規準、その他の破壊規準と考えられる。土のせん断降伏とせん断破壊の一貫性より、土の弾塑性モデルにMohr-Coulomb規準やSMP規準のような規準をせん断降伏規準として取り入れるのはごく自然なことと思われる。そこで、本研究では, (1) π面上のSMP規準の曲線(オムスビ形)を円形に変換する一種の変換応力を提案した。変換された新しい応力空間でCam-clayモデルと全く同じ形の弾塑性モデルを提示している。このモデルは三軸圧縮だけでなく、三輪伸張、平面ひずみ条件および相異なる3主応力条件下の粘土の変形特性をよく説明している。 (2) 関口・太田モデルにSMP規準を変換応力の方法を用いて取り入れ,初期異方性を考慮した粘土の弾塑性構成式を提案する.提案モデルによる予測値と軸対称条件下と平面ひずみ条件下での粘土の実測値を比較することにより,異方圧密粘土のダイレイタンシー特性を含む変形・強度特性を統一的に表現できることがわかった. (3) Cam-clayモデルの硬化パラメーターε^p_v(塑性体積ひずみ)のかわりに正負のダイレイタンシー特性を説明できる硬化パラメーターHを導入することによって粘土と砂の正負のダイレイタンシー特性を含む変形・強度特性を統一的に表現できる弾塑性モデルを提案した. (4) 提案した変換応力を用いれば、他のp、qによる土の構成式をも簡単かつ合理的に3次元化できると考えられる。
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