研究概要 |
1) 粒子構造に基づいた粒状体の降伏面の決定に関して a) 降伏曲面を、実測値に基づいて現象論的に決定するものではなく、粒子構造の変化より考えるために、粒状体の内部構造を評価する1つの指標である粒子接点角分布に着目し、粒状体の内部構造の変化を考えることにより降伏曲面を求めた。 b) 2次元粒状体の粒子構造の変化の考察により、(σ_x+σ_y,)/2〜(σ_x-σ_y)/2〜τ_<xy>で表される3次元応力空間での降伏曲面を新たに見いだした。この降伏曲面によれば、主応力方向の回転による降伏や、等方圧密履歴、異方圧密履歴のみならず、せん断応力(τ_<xy>)のからんだ履歴を受けた場合の降伏をも統一的に評価できる。また、その降伏曲面形を2次元任意応力実験により検証した。 c) 3次元での粒子構造の変化の考察により、主応力方向の回転による降伏や、せん断応力(τ_<xy>、τ_<yz>、τ_<zx>)のからんだ履歴を受けた場合の降伏をも統一的に評価できる、3次元応力条件下の降伏曲面を導いた。そして、この降伏曲面を一定条件下で描いて、考察した。 2) 粒状体の弾塑性モデルの3次元化に関して a) π面上のSMP規準の曲線(オムスビ形)を円形に変換する一種の変換応力を提案した。変換された新しい応力空間でCam-clayモデルと全く同じ形の弾塑性モデルを提示している。このモデルは三軸圧縮だけでなく,三軸伸張,平面ひずみ条件および相異なる3主応力条件下の粘土の変形特性をよく説明している. b) 関口・太田モデルにSMP規準を変換応力の方法を用いて取り入れ,初期異方性を考慮した粘土の弾塑性構成式を提案した.提案モデルによる予測値と軸対称条件下と平面ひずみ条件下での粘土の実測値を比較することにより,異方圧密粘土のダイレイタンシー特性を含む変形・強度特性を統一的に表現できることがわかった. c) Cam-clayモデルの硬化パラメーターε^p_v(塑性体積ひずみ)の代わりに正負のダイレイタンシー特性を説明できる硬化パラメーターHを導入することによって,粘土と砂の正負のダイレイタンシー特性を含む変形・強度特性を統一的に表現できる弾塑性モデルを提案した. d) 提案した変換応力を用いれば,他のp,qによる土の構成式をも簡単かつ合理的に3次元化できると考えられる.
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