研究概要 |
(1) 粘性土供試体の体積含水率を計測する方法として,FDR計測法(Frcqucncy Domain Reflectometry)の適用性の検討を行った。その結果,粘土試料に対してわずかなキャリブレーション曲線のずれが見られたものの,飽和度全般にわたり精度良く測定できることを確認した。しかし,ベントナイトのようなイオンを多く含む試料に対しては,干渉波を検出できず,従来の方法では測定不可能であった,そのため,電極を絶縁物質でコーティング(1mm厚)した新しいプローブを開発し,ほぼ全試料に対する体積含水率の測定を可能にした。 (2) FDR計測法を用いた室内試験における不飽和浸透特性を測定する方法として,瞬時水分計測装置を開発した。従来までのRI計測法と比較して,測定が瞬時で局所的な測定が可能であるため,精度良く求めることが可能となり,FDR計測法の有用性が確認できた。 (3) 原位置での不飽和浸透特性の計測方法の開発を目的とし,浸潤過程の実験を原位置で行った。地盤内の体積含水率の変化をADR計測法(Amplitude Domain Reflectometry)により計測し,負の圧力水頭の変化を挿入型間隙水圧計(既開発装置)によって計測した。この結果より,浸潤過程の水分特性曲線を求めた。また,原位置で給水を十分に行い,給水を停止した後の体積含水率の変化と負の圧力水頭の変化を同様の方法で計測し,排水過程の水分特性曲線を求めた。これら2つの挙動より,場のヒステリシスを確認し,不飽和浸透に対して,その浸透の過程でそれぞれに合った水分特性曲線を用いなければならないことが判明した。 (4) 原位置よりサンプリングした試料を室内試験で水分特性曲線及び不飽和透水係数を計測した。計測法には改良型加圧板法を用い,浸潤過程での測定を可能とした。またサンプリング法の違いによる不撹乱試料の密度の違いを検討した。結果としてパーカッションボーリング法では孔底や孔壁の密度増加により採取試料の密度増加が,また,コアカッター法による採取試料は拘束圧の除去による密度の低下が見られたが,両者の差はわずかであり,その影響は無視できる程度であった。
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