研究概要 |
プロトタイプ型の原位置簡易岩盤三軸圧縮試験用アタッチメントを作製し,原位置での適用を前提とした中規模の室内モデル実験を実施した。根付き試験片部は炭酸カルシウム混入の低強度セメントモルタル(一軸圧縮強度15.4MPa,寸法φ10×H25cm)を,周辺の岩盤部はコンクリート(呼び強度24MPa,スランプ18cm)を用いて直径35cm,高さ35cmの岩盤モデル岩塊を作製した。岩盤モデル岩塊は厚さ4mm,内径131.8mmの一般構造用炭素鋼管で補強し,アタッチメントは8本のアンカーボルト(M27)で岩盤モデル岩塊に装着した。周圧は既存の油圧ユニットから供給される油圧を利用して最大1.96MPaを与えた。最も単純な1つの不連続面(軸力載荷方向に対して45度傾斜)が内在する場合を取り扱った。本年度の室内モデル実験から明かとなった事柄を以下に列挙する。 1.新たに制作したプロトタイプ型の原位置簡易岩盤三軸圧縮試験用アタッチメントが想定通りの機能を有し,これまで採用して来た方法を踏襲して簡易岩盤三軸圧縮試験が実施できることを確認した。 2.せん断強度と内部摩擦角に関しては,簡易三軸試験結果は従来の擬似三軸試験結果より約5%程度小さめの値を与え,これまでの結果と同様な傾向を示した。力学的パラメータに関しては寸法効果は確認されなかったが,これはこれらの力学的パラメータが実験結果から間接的に評価されることによるものと考えられる。 3.岩盤モデル岩塊自身の押抜きせん断耐力不足のため高い周圧を付加することができなかった。このため不連続面の滑動が根付き試験片の挙動を支配する範囲での実験となったが,同一試験片に対する多段三軸圧縮試験を行うことで不連続面の力学的パラメータ(せん断強度と内部摩擦角)を評価することができた。
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