地盤汚染域の検出や地盤層序決定のために、従来から使用されているコーン貫入試験を改良した電導コーンを作製した。この装置は、コーン上部ロッド部に電流および電位電極(4極法)を取り付けたもので、コーン貫入中に地盤の比抵抗を測定できるようになっている。平成9年度は、この装置を用いて室内試験および現場実験を行った。 室内実験では、土槽内に硅砂-木節粘土から成る2層および3層モデル地盤を作り、コーン貫入中の比抵抗を測定した。その結果、砂の比抵抗が約200Ωmであるのに対し、木節粘土の比抵抗は約20Ωmであった。また、砂の間隙水をNaCl水とした場合についても比抵抗を測定したところ、NaCl濃度によって比抵抗が大きく変化することがわかった。たとえば、NaCl濃度が0.01%(塩/土重量比)の場合、比抵抗は1/4にまで下がった。このことから、地盤中に電解質の汚染物質が混入した場合には、比抵抗を測定することによって、汚染の程度が判別できる可能性がある。一方、11月26日および27日において、川口市郊外の水田跡地を利用して、現場電導コーン貫入試験を行った。その結果、得られた比抵抗は土質の違いを極めてよく反映した。これによって、地盤層序が比抵抗値から判別できる可能性が出てきた。この場所では、比抵抗が23Ωm以下なら粘土、23〜30Ωm程度ならシルト、30Ωm以上なら砂であることがわかった。このほか、圧密試験型比抵抗測定装置を使用して土の比抵抗を測定した。その結果、乱さない土と練返し土では比抵抗が異なることがわかった。これらのことは、電導コーンの結果を解釈する上で重要となるが、今後の課題である。
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