石油系炭化水素が砂に含まれると、その比抵抗がどの程度変わるかについて、室内実験によって調べた。その結果、含水比が低い場合において、軽油含有率が高いほど比抵抗が増大することがわかった。このことより、帯水層より上の不飽和帯において、本研究で開発した電導コーンを用いて石油系炭化水素で汚染された地盤の検出は可能であると結論できた。なお、砂が飽和に近い状態では炭化水素が比抵抗に与える影響が小さいことがわかった。これらは、土粒子-水-油系の微視的構造に関係すると思われ、その解明に取り組む必要がある。 桑名市の干潟干拓地において、電導コーン貫入試験を行った。同時に近傍においてボーリングにより土試料を採取し、種々の土質試験を行った。これまではデジタル表示の測定器から目視により記録していたが、今回は自動記録装置を使用した。貫入は直線上に5m間隔で3回行い、それぞれの深さ方向の比抵抗変化を測定した。その結果、地盤深度が5m程度までは、3回の測定値や深度分布がほぼ同じであったが、深度10mを越えると、貫入位置によって比抵抗値がかなり異なることがわかった。また、周辺の土質から考えると、粘性土と考えられるものの、得られた比抵抗値は砂や礫に相当する相当高い値であった。なお、ボーリング試料のうち、深度19m付近のものについては、直径約2cm程度のほぼ球形の炭酸カルシウムノジュールがいくつも発見され、そこでは特殊な地盤が形成されていることが判明した。比抵抗値が高いことと特殊な地盤形成が関係するかどうかについては、現段階では不明である。
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