地盤中の汚染域の検出やモニターを行うための試験装置として、電導コーン貫入試験技術の開発を行った。開発した電導コーンには、4つの電極が取り付けられてあり、コーンの貫入中に電流を流しながら電位差を測定できる。なお、測定した電位差から地盤の比抵抗を求めるには、本研究で導いた電位差と比抵抗の関係式を用いた。また、室内で土の抵抗比を測定するために圧密試験型比抵抗測定装置を作製した。 室内試験では、珪砂、木節粘土、ベントナイトを用い基本的データを得た。また、間隙水として塩化カリウム溶液、塩化ナトリウム溶液を用い、電解質の栄養を調べた。一方、地盤の油汚染を想定して、軽油と土を混ぜて、比抵抗を測定した。 現場実験は、茨城県、埼玉県、静岡県および三重県のそれぞれにおいて実験値を選び、それぞれの地点で数回のコーン貫入試験を行った。 室内実験と現場実験により、土の比抵抗は、土の種類(分類学的種類、含水比、飽和度など)、間隙中の電解質の濃度、間隙中の油など炭化水素の有無、土の構造特性などに影響されることがわかった。 土の種類による比抵抗の違いは大きく、たとえば、飽和砂と粘土では比抵抗が約100倍ほど違う。不飽和砂になると、比抵抗は増大し、さらにその差が広がる。したがって、一般的には、砂質土か粘性土かの判別は比抵抗によって容易に行える一方、間隙水が電解質溶液の場合には比抵抗が下がるので、砂の場合には、粘性土との違いがわからなくなる。したがって、地盤が砂で構成されているとわかっており、またその砂が汚染されていないときの比抵抗がわかっている場合には、比抵抗の測定によって地盤が汚染されているかどうかがわかる。つまり、比抵抗値のバックグランドがわかっている場合には、地盤中の汚染域の特定が可能である。また、地盤が浄化されるとき、比抵抗が変化するので、それをモニターするための装置として電導コーンが適用できると思われる。
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