研究概要 |
当研究機関が所有するクリープ試験機の最大荷重の制約および入手が容易であることから、研究の対象岩石として大谷石を選定した。実験試料の均質性を保つため、研究分担者が直接現地(栃木県大谷町)に赴き、岩石ブロックとして試料を採取した。それからφ5cmx10cmの円柱形供試体を80本作成し、岩石の乾湿による風化を防ぐために現地で採取した地下水に浸して恒温室に保存してある。 本年度実施した試験は、予備試験として密度27個、弾性波速度測定27個、一軸圧縮試験(静弾性係数、強度)19個、圧裂試験(引張強度)4個、三軸圧縮試験6個である。得られた結果を平均値として示すと、湿潤密度がρt=1.787gf/cm^3、P波速度Vp=2.45km/s、S波速度Vs=1.42km/s、静弾性係数E=23,200kgf/cm^2、一軸圧縮強度qu=83kgf/cm^2、引張強度σt=9.8kgf/cm^2、三軸圧縮試験は側圧をσ3=10.0〜35.0kgf/cm^2の6段階とし、粘着力c=26kgf/cm^2、内部摩擦角φ=27°を得た。 本試験としては、三軸クリープ試験を3個行った。側圧をσ3=20kgf/cm^2とし、軸差応力の応力強度比80%のクリープ応力で19分、76%では3120分でクリープ破壊した。71%のクリープ応力での実験は現在70日間経過したが未だクリープひずみが進行しており、長期間のクリープ試験として貴重なデータとなりうるので、今後も載荷を継続し、6ヶ月間程様子を見ることとしたい。結果の分析はさらにクリープ試験データを蓄積し、来年度以降に行う予定である。
|