煙型表層雪崩の発生機構と流動機構の解明

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09650563
• 研究機関: 長岡技術科学大学
• 研究代表者: 福嶋 祐介 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (40111661)
• キーワード: 煙型雪崩 / 表層雪崩 / 吹雪 / K-ε乱流モデル / 数値シミュレーション / 固液二相流 / 固気二相流

研究概要

1. 固体粒子浮游流の新たなモデルを考案するため、流れが二次元定常・等流であると仮定し、固体粒子の密度が周囲流体の密度より大きくなる場合を想定し、非ブーシネスク流体として取り扱う。基礎方程式としてレイノルズ方程式、混相流の質量保存側、固体粒子の濃度の拡散方程式、乱れ運動エネルギー方程式、分子粘性逸散率の方程式による非ブーシネスク流体に拡張されたk-ε乱流モデルを用いる。
2. 雪崩の発生機構が風による雪粒子の浮游であると考え、これときわめて類似点の多い吹雪の実験を行った。実験に用いたのは防災科学研究所新庄支所での低温風洞装置である。この装置を用いて底面に実際の雪を敷き詰め、風を起こすことによって吹雪を発生させた。熱膜流速計とスノーパーティクルカウンターを用いることによって風速の鉛直方向の分布と吹雪量の鉛直方向の分布を測定した。2種類の設定風速で測定を行った。実験結果と、前述の非ブーシネスクk-ε乱流モデルによる数値計算結果と比較した。数値解析によって実験結果をかなり良好に再現できることが示された。
3. 煙型雪崩あるいは吹雪の発生機構・流動機構に類似していると考えられる開水路における浮游砂流の室内実験を行い、種々の水理条件の実験結果と数値解析での流速分布と濃度分布の結果と比較し考察を行った。
4. 固体粒子の巻き上げ・沈降を伴う密度流先端部の流動解析を行うため、塩水と固体粒子を用いた傾斜サーマルの室内実験を行う。傾斜面上に水よりやや重いプラスチック粒子を敷き詰め、上流において塩水を一度に開放し、傾斜サーマルを形成させる。傾斜サーマルによるプラスチック粒子の巻き上げる現象をビデオ撮影し、画像解析を行なった。
5. 上述の実験において、ビデオ画像解析により、先端移動速度、先端部の最大厚さ、サーマルの形状を測定する。これらの結果を煙型雪崩の流動シミュレーションモデルと比較し、モデルの妥当性を検討した。

研究成果

• [文献書誌] 福嶋祐介: "非保存性密度流による煙型雪崩のシミュレーションモデルの検討" 雪氷北信越. 18. 81 (1998)
• [文献書誌] 福嶋祐介: "吹雪の流動解析その2-非ブーシネスクk-ε乱流モデルの適用-" 雪永北信越. 18. 80 (1998)
• [文献書誌] Fukushima,Y.: "Numerical Simulation of gravity current front" Journal of Hydraulic Engineering(ASCE). 124-6. 572-578 (1998)
• [文献書誌] 坂本充男: "傾斜サーマルの流動特性とそのシミュレーション" 土木学会第52回年次学術講演会講演概要集,. II. 832-833 (1998)
• [文献書誌] 野口和義: "非ブーシネスクK-ε乱流モデルによる固流二相流の解析" 土木学会第52回年次学術講演会講演概要集. II. 820-821 (1998)
• [文献書誌] 福嶋祐介: "煙型雪崩の数値モデル" 気象研究ノート. 190. 59-72 (1998)
• [文献書誌] 福嶋祐介: "非ブーシネスクK-ε乱流モデルによる吹雪の流動解析の試み" 1998年度日本雪氷学会全国大会予稿集. 144 (1998)
• [文献書誌] 福嶋祐介: "煙型雪崩の減速域の模擬実験とシミュレーション" 1998年度日本雪氷学会全国大会予稿集. 6 (1998)
• [文献書誌] 福嶋祐介: "非ブーシネスクK-ε乱流モデルによる吹雪の流動解析" 土木学会関東支部新潟会研究調査発表会論文集. 16. 145-148 (1998)
• [文献書誌] 福嶋祐介: "固体粒子の浮遊による傾斜サーマルの流動特性について" 土木学会関東支部新潟会研究調査発表会論文集. 16. 149-152 (1998)
• [文献書誌] 福嶋祐介: "粒子浮遊サーマルの実験による煙型雪崩流動モデルの適用制の検討" 雪氷(日本雪永学会誌). 60-6. 453-462 (1998)
• [文献書誌] 福嶋祐介: "非ブーシネスクk-ε乱流モデルによる吹雪の流動解析" 長岡技術科学大学研究報告. 20. 29-42. (1998)
• [文献書誌] 福嶋祐介: "粒子浮遊サーマルの実験による煙型雪崩流動シミュレーションモデルの適用性" 長岡技術科学大学研究報告. 20. 19-27 (1998)
• [文献書誌] 福嶋祐介: "固体粒子浮遊による傾斜サーマルの流動特性" 水工学論文集. 43. (1999)