研究概要 |
本研究では,重信川上流山地河道に調査区間を設定して河道の湾曲部や岩の周辺に形成される淵の特徴や石礫の集中による階段状河床形態の実態とその経年的変化を調査した.また,二粒径混合砂礫を用いて急勾配実験水路において礫の集中部の形成と破壊とによって変化する河床形状と流砂量の時間変化特性を実験的に明らかにしたものである.得られた結果を要約すると以下の通りとなる. 1)現地調査によって淵や階段状河川といった山地河道での河床形態の一端を示した.これらの河床形態の骨格は大出水時に石礫が活発に移動している状態で形成され,低水時に砂のみの選択的輸送によってその形態が明確になる. 2)河床が上昇傾向にある場合,比較的容易にみお筋が変化し河床形態が変化する. 3)礫の停止・集合によって流砂形態が変化し,その結果流砂量が場所的・時間的に大きく変動することが示された.また,河床が急勾配で砂礫が活発に移動している状況において流砂量変動が現れやすく,その規模も大きくなる. 4)河床に出現する流砂形態は,(1)砂礫の鉛直分級過程,(2)礫停止・集合過程,(3)砂洗掘・堆積過程,(4)堆積部崩壊過程,および礫集合部の規模が大きければ洗掘孔を埋めるように礫が停止する(5)砂礫完全混合過程の5通りに分類され,流砂形態(1)のとき流砂量が最大となり,流砂形態(5)のとき流砂量が極端に減少する. 5)最小時の流砂量は,従来の掃流砂量式で砂礫の流れへの遮へい効果・突出効果を補正する方法である程度推定できるが,最大時の流砂量は土砂流のような集合流動的な取り扱いも考える必要がある.
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