研究概要 |
本年度は研究対象とする流出試験地において収集した基礎資料を用いて,過去に観察された既存の水文データを分析し,流域の都市化に伴う地下水流出現象の相違について検討した。その研究実績は次の通りである。 (1)都市化流域における不浸透面の拡大に伴う地下水かん養量の変化について検討した。(2)都市化流域において観測された地下水位の径時変化と地表面改変を示す不浸透面積率の変化とを関連付けて解析を行い,地下水流出の変化を分析した。(3)地下水かん養量は不浸透性地表面の拡大に伴って減少して、1995年のかん養総量は1962年のもののおよそ4.0%となることが分かった。(4)河川低水流量となる地下水流出の総量は地下水かん養の量の減少と全く同様に減少し、不浸透性地表面の拡大に伴って減少していることが分かった。(5)都市化流域における不浸透面積率の増加に伴う地下水位の低下は,大まかには、冬から春にかけて顕著に現れることが分かった。(6)不浸透面積率の増加に伴う冬から夏にかけての地下水位の上昇不足は、3ヶ月間の月降水量が平均してほぼ300mm以上の場合には現れないが、ほぼ200mm以下と少ない場合には顕著に現れることが分かった。(7)都市化流域における地下水位の低下傾向は,不浸透面積率の増加によって表現できることが分かった。(8)以上の得られた研究成果を地下水学会誌、国際会議(International Conference on WEESHE)および土木学会主催の平成11年度研究発表会において公表した。
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