河川を模擬した実験装置の製作と対応する数値計算コードの作成は、実際の河川は曲っていたり、狭くなったり、幅広くなったり、深くなったりしているので困難である。そこで、先ず第一段階として、曲りのない2次元流路の実験装置と対応する計算コードを完成させた。 曲りのない2次元流路は実際の河川でも存在するが、河川内に岩、堤防、橋の存在は流れの2次元性を失う。従って、そのようなものがない一様断面の流路を作製した。また、流体が流路内を流れる際、その2次元性が十分保持されるように流路上部にサージタンクと整流格子を取り付け、流れをCCDカメラを用いてモニターし、その画像を収録して画像処理した。 作成した計算コードを使用して、2次元開水路に橋脚(解析では、これを2枚のプレートで模擬している)が存在する場合の流動特性を計算した結果、レイノルズ数が小さい場合、堆積物の後方に対称な渦が存在し、この渦は時間が経過しても変化しない。また、この様な挙動はレイノルズ数が増加しても大きくは変化しなかった。一方、プレート間距離を広げた場合、低レイノルズ数領域の流れは先の結果とほぼ同じであったものの、橋脚後方に形成された渦はレイノルズ数の増加に伴い振動し、時間の経過と共に規則的に振動を始めることが分かった。このような流動特性は、プレート間に発生する渦の特性によって影響されることが数値解析と可視化実験で明らかとなった。 河川氾濫を引き起こす河川の現地調査をした結果、河川下流域での河川改修は終了し、流路幅、深さが改善されていることが確認された。一方、河川中流域、上流域では、まだ改修工事が継続されているが、豪雨にも耐えうるだけの流路幅の改善がなされていることが分かった。
|