研究概要 |
21世紀に向けた大都市圏の都市構造のあり方を考えたとき、省エネルギーや環境負荷の軽減を図り、職住分離による通勤時間の遠距離化を解消するために、よりコンパクトな都市をめざすことがこれからの重要な都市政策である。この意味において大都市圏における都心居住推進策を押し進めることは21世紀の都市政策の中心的な課題となるものと考えられる。 本研究では,まず都心居住が省エネルギーや環境負荷の軽減にどれだけ寄与するかを、パーソントリップ調査結果に基づき実証分析し、都心居住者が非居住者に比べて交通移動量が少なく、とくに自動車利用によるトリップ数の減少によって、利用エネルギー量や車排気ガス量の削減効果に貢献する実態を明らかにした。また都心居住によって自由時間は増加し、自由目的行動を増加させる効果のあることも明らかにした。 次に独自に実施した居住者アンケート結果より、都心居住の長所と短所、都心居住の満足度、非都心居住者の都心居住意志やその条件などを、世帯構成,住宅形態、居住年数との関連性から分析し、また居住地選択に影響すると思われる住宅条件、環境条件、利便性の各要因をAHP手法を用いて解析し、都心居住政策を進める上で重要となる要因を明らかにすることができた。 以上2年間にわたる本研究の緒果、大都市圏における都心居住の有用性を環境面や生活行動面から明らかにするとともに、都心居住策を推進する上での必要施策について、居住者の意識分析から明らかにできた。
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