研究概要 |
本研究は、不確実性の下で交通主体が交通行動の継続中に行う逐次的な意志決定プロセスの解明を試みるとともに、その中での交通情報の果たす役割をモデル化することを通じて動的交通情報提供の効果計測を行うことを目的としている。平成9年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1.関連研究とその問題点の整理 : 不確実性下での交通行動および動的交通情報提供の効果計測に関連する既往研究のレビューを行い、それらの問題点と今後の課題を整理した。 2.不確実性下での逐次決定型交通行動のモデルの定式化 : 不確実性下での逐次決定型交通行動の意志決定プロセスにおける動的交通情報提供の効果をより明確に捉えるために、(1)交通主体が動的交通情報をどのように処理し、行動を決定するのかという情報提供の即時的効果に係わる部分、(2)交通主体が繰り返し的に情報提供を受けることによって行動開始前の不確実性レベルや行動基準が変化するという情報蓄積効果に係わる部分を分けて定式化を行った。 3.経路選択および駐車場選択に関する実態・意識調査の実施とその整理 : 不確実性下での逐次決定型交通行動の代表例として、自動車利用者の経路選択と駐車場選択を取りあげ、豊橋市民を対象に実態と意識に関するアンケート調査を2回実施した。2つの調査とも調査票配布数は約2,000とし、回収率は24〜27%であった。現在、これらの調査データの基礎集計を行っている最中である。 4.今後の予定 : 平成10年度は、上記データを用いて逐次意思決定仮説に基づく実用的な非集計タイプの交通行動予測モデルの構築を行うとともに、動的交通情報提供システムの効果計測モデルの構築、シミュレーション分析によるモデルの有効性の検討を行う予定である。
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