研究概要 |
本研究では錯綜した交通場面の映像再現システムを構築するため,実走による運転挙動との比較より,システムの有効性を明らかにするものであり,平成9年度の研究実績は以下のようにまとめられる. まず現状を把握するために,主要高速道路を対象とした現地調査を行った.同時に,調査対象部分の交通状況および構造条件に関する資科収集を行った.そして,代表的な合流部を対象としで秋田自動車道の西仙北SA上り線,と太平山PA下り線を取り上げ,高齢ドライバーを被験者とした調査を行った.ここで,解析に用いた合流車の台数は,西仙北881台,太平山850台であった. 本研究では,合流車が後方直近の本線車の前方に入る合流形態を前方合流,後方に入る合流形態を後方合流としている.分析の結果,次のようなことが明らかとなった. (1)合流車線長が160mでの合流と190mでの合流を比べると,前方合流,後方合流の合流形態によって,160m合流では合流位置が異なるのに対し,190m合流では合流位置に変化はみられなかった. (2)前方合流での合流時の速度を比較すると190m合流で合流速度が高く,合流車線長の延長によって,十分な加速が行われていることが明らかとなった. (3)前方合流における後方直近の車両との車頭時間をみると,190m合流で十分な車頭時間が得られていることが明らかとなった.以上のように,合流車線長の延長が合流挙動に与える影響を160m合流,190m合流について観測調査による分析を行った結果,190m合流の方が,合流車線長が長いことによる余裕を持ったギャップ選択や,速度の調節を行えることが明らかになった. また,この観測調査・解析とは並行して,映像再現システムについては,ヴァーチャルリアリティ技術を用いたドライビングシミュレータを開発した(対象区間:北陸自動車道,設置場所:大阪大学).そして,対象区間における実走実験結果と室内実験を統計的に比較することにより,シミュレータの信頼性について検討した.
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