研究概要 |
公共交通や自転車・歩行者施設整備、交通管理、交通需要管理方策といった、互いに補完し会う一連の対策を組み合わせるパッケージ・アプローチの効果,特に、利害関係者の合意形成上の利点に着目した。 2年目の本年度は都心アクセス交通管理を対象として、施策個別案とパッケージ案に対する意向形成に対する個人属性と潜在的なライフスタイルの影響を中心に検討した。 1) 都心交通管理パッケージアプローチの事例調査 イギリスのリーズ、ポルトガルのリスボンを対象にパッケージアプローチによる都心交通管理の実施事例を対象に、パッケージの構成、実施手順、住民合意プロセスを平成9年9月に,山中が現地の市役所・交通運営組織を訪問した。調査結果から、中規模都市での、公共交通施設、自動車管理施策の実現化の手順などの特徴を整理している。 2) 住民意向調査による分析 我が国における適用性を検討するため、徳島市を対象として、具体的なパッケージアプローチによる交通管理施策の代替案を作成し、これについて合意形成可能性を探るアンケート調査を昨年に引き続き対象地域を拡大して実施した。個人の交通利用環境,属性,ライフスタイルなどが,交通需要管理に対する反応にどのように影響するかを、マーケティング手法であるセグメント分析を行うとともに、ランダム効用モデルを用いて意向反応の要因を分析し、一定の成果を得ている。 最終年度は、トリップ補完や財政的補完、空間配分といったパッケージ特性を考慮できる意向形成効用モデルを新たに開発するため、アンケート調査における設問内容の改善とともに、サンプリング拡大による調査を実施する。開発した意向形成効用モデルを用いることによって、パッケージ施策の構成による合意形成の可能性について検討する。
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