研究概要 |
本研究は建設工事用のCGアニメーション・データを工事発注者・設計チーム・複数の施工関連業者間で共有するとともに、実際の施工支援に利用可能なシステムを構築することにある。工事現場でのコンピュータ利用の現状および将来性を考慮し、ハードウェアーは最も一般的に普及しているWindows対応機種とし、ソフトウェアーはAutoDesk社のAutoCad、3D-Studio、Superscape社製のVRTを用いたが、ブラウザーはすべて無償で公開されているものを利用している。このため、CG画像は、現場のパソコンでoff-lineの状態でも見ることが可能であるし、遠隔地からインターネットを利用し、自由にダウンロードすることもできる。 本研究において、Web技術を用い、ホームページのみで情報交換可能なシステムの構築に成功した。主な機能は、【○!1】CG画像・写真の遠隔地からのアップロード機能、【○!2】掲示板による非同期・遠隔地間での情報交換機能、【○!3】設計図面(CAD図面)の保存・閲覧機能、【○!4】ヴァーチャル名刺によるチーム構成員に関する情報参照機能等がある。初年度は、実際の実証実験フィールドとして福島県発注の田島ダム工事を取り上げ、上記システムの構造の有効性を確認した。さらに、2年目は、熊本県発注の佐敷大橋建設工事に、工事開始と同時に本システムを始動し、様々な施工支援を試みた。主なものは、【○!1】全工程シミュレーション、【○!2】上部工施工法検討、【○!3】橋脚用配筋作成検討等であり、【○!4】工程計画検討工程可視化用作成等である。それぞれ現場の技術者・作業員にインターネットを通してGCを示し、その有用性の検討を行った。以上から本システムが現場の施工支援に有効であることを確認した。なお、本システムは、多くの建設工事関係者が購読する「土木施工、Vol40,No1、1991.1」に紹介され、滋賀県の大戸川ダム(建設省発注)で、平成11年度4月より新規実証実験が開始されることとなった。
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