研究概要 |
本研究の平成9年度における研究実績は以下の通りである.なお,開発した手法の適用性を検討するため2つのケーススタディを実施した.1つは,神奈川県藤沢市中心部を対象とするものであり,もう1つは,インドネシアのジョグジャカルタ市マリオボロ地区を対象としたものである. (1)街路空間の有効利用手法の確立 研究代表者らが提案している手法を多様な街路に適用できるように拡張を試みた.具体的には,交通関連指標以外の様々な要素を取り入れて,数量化III類による街路機能に基づいた分類を行なった.次に,街路の現状の利用実態を把握し,現状の空間配分構成の妥当性について検討し,空間占有状況からみた問題街路区間を抽出した.このような検討に基づき,現状の空間構成に問題があると考えられる街路の中で,空間再配分が必要とされる街路について,具体的な再配分方策を検討した. また本研究では,上述した通り非常に多種多様なデータを取り扱い,かつ分析結果を実際の現場にフィードバックする必要性がある.このため,GISソフトウェア(MapInfo)を分析ツールとして導入した. (2)街路構成要素とその相対的重要度の検討 具体的な街路整備代替案の街路構成要素を明確にするため,利用者にとって望ましい街路のあり方について検討した.まず都心部の街路を想定して,街路構成を示したパースを用いた一対比較によるアンケートを実施し,この結果に基づきAHP手法によって街路を構成する要素の重要度を算定した.そして,これによって,利用者属性,街路幅員による各要素の重要度の違いを考慮した街路整備を検討した.
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