街路空間の有功利用には種々の方法が考えられるが、これらは基本的には街路を利用する各交通主体に対する空間割り当ての適正化と強く関係するものである。本研究は、種々の街路利用者の関係を考慮して適切な街路空間再配分を行う方法を確立し、合理的な街路計画について提案することを目的とたものである。 本研究で確立された街路計画手法は以下のとおりである。1)道路交通センサス等の比較的簡単に入手できるデータを用いて種々の街路の機能分類を行う。この機能分類手法は大都市圏だけではなく地方都市においても合理的な結果を与えることを確かめており、汎用性が高い手法となっている。2)街路利用主体の空間占有状況を表すオキュパンシー指標を用いて、各利用主体に対する空間配分バランスの良否という観点から、改善が必要と思われる街路区間を抽出する。ここで、抽出される街路は自動車ならびに歩行者交通が多い商業業務系の街路であることが多い。3)当該街路が属する機能グループの特性を考慮し、この街路の機能に応じた改善方向を検討する。4)AHP法によって街路空間の構成要素の重要度を算出するとともに、それに基づいて街路空間再配分代替案を作成する。5)交通サーキュレーション等について検討し、実現性の高い代替案の抽出を行う。街路には多様な利用主体が存在から、4)ならびに5)においては、それらの利用主体間に種々の競合関係が生じる。本研究ではこれらの関係を調整して合理的な街路空間配分を提案するための方向を示した。
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