人間活動による環境への負荷を評価するため、LCAの研究が多く行われているが、既存の研究は特定の施設、製品を対象としたものである。しかし、都市にはさまざまな機能があり、その中で各施設の機能を知ることは都市全体の負荷の低減策を考える上で重要である。本研究は札幌市を対象とし、都市代謝施設を中心に都市活動全体の評価を行った。 都市の活動を市民生活、それを支える交通、産業、および都市の機能を維持するための環境保全システム(上水道、下水道、廃棄物処理)に分けた。電気・ガス・熱供給は産業に含まれ、市民生活の大部分は住宅である。各々の活動はLCAの評価方法に従って、さらに建設、維持・管理、運用、解体のステージに分け、エネルギー消費量によって評価した。評価範囲が多岐にわたるため、既存の研究成果、統計資料の利用、ヒアリングを中心に進めた。 計算の結果、全体のエネルギー消費量はガソリンに換算すると、一人年間1400リットルの消費にあたり、内訳は、交通44%、市民生活32%、産業活動15%、環境保全システム9%となった。環境保全システムの中では廃棄物処理が63%、下水道31%、上水道6%の順になった。 次に、環境保全システムの中で最もエネルギー面での負荷が大きい一般廃棄物処理について、ごみの発生から最終処分までの評価計算プログラムを作成した。評価はコスト、エネルギー消費量、二酸化炭素発生量であり、LCA的な評価ができるものとなっている。これによって、自治体がとりうるさまざまな施策の効果を定量的に示し、埋立量削減、焼却量削減といった典型的な施策を評価した。
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