研究分担者 |
山田 一裕 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30250723)
西村 修 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80208214)
須藤 隆一 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70109916)
稲森 悠平 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 総合研究官 (10142093)
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研究概要 |
本研究では,近自然工法によって河川内における生物多様性の確保を実現させるために,生物の生息環境として重要な淵を対象として,河川水質に応じた瀬と淵の構造の最適化を図ることを目的とする。この目的を達成するために,河川水質の中で特に有機物・窒素化合物濃度と淵の構造とを変数として作成したモデルにより,淵底部における溶存酸素濃度を予測し,底生生物の生息可能な溶存酸素濃度を確保しうる瀬と淵の設計因子を検討する。 平成9年度では,主に水質の異なる河川でのフィールド調査と,河川で採取した河床礫生物膜を用いた室内実験により,硝化細菌と付着藻類の生理特性を明らかにすることをめざした結果,以下の知見を得た。 1)窒素化合物を高濃度に含む下水処理場2次処理水が放流されている河川においては,窒素由来の酸素消費(N-BOD)が高頻度で検出された。その水質要因として,C/N比が小さいこと,NH4-N濃度が高いこと,水温が高いとN-BODが検出されやすいことが明らかとなった。 2)現場調査で明らかになった水質条件から人工河川水を調整し,それを用いて河床礫生物膜を馴化させ,N-BODと窒素化合物,硝化細菌数の経時変化を検討した結果、C/N比が小さいほどN-BOD検出までの遅滞時間が短く,水温が高いほど硝化速度が高いことが明らかとなった。
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