研究分担者 |
西村 修 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80208214)
須藤 隆一 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70109916)
稲森 悠平 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 総合研究官 (10142093)
山田 一裕 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (30250723)
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研究概要 |
本研究では,近自然工法によって河川内における生物多様性の確保を実現させるために,生物の生息環境として重要な淵を対象として,河川水質に応じた瀬と淵の構造の最適化を図ることを目的とする。平成9、10年度の研究成果を踏まえて,平成11年度では、河川生態系復元のためのビオトープの創出、河川のビオトープや多自然型川づくりに有効となる河床構造と浄化能との関係、瀬と淵と水質浄化機能との関係の検討を行った。得られた結果を以下に示す。 1)健全な河川生態系を維持するためには、ビオトープ創出による水辺浄化機能の向上や多自然型川づくりの導入、生態工学を活用した自然浄化強化手法の開発が重要であることがわかった。 2)水生生物の生息環境の創出にあたっては、瀬や淵を形成させるなど流路の変化と、植生の確保や礫を充填するなどの多孔空間の確保が有効であることがわかった。 3)流路における有機物除去能は,効率的な接触効率が確保されながら適切な生物膜量が保持されることで生物膜接触酸化効効果が向上することがわかった。 4)淵・よどみや植生の繁茂によって流速が低下することで生物膜量が高まるために嫌気的領域の存在する割合が多くなり,それが脱窒作用を向上させ窒素除去効果が高まることが明らかになった。 5)浄化ブロック,浄化ネットの適用はビオトープと同調して自然浄化機能を持続的に維持しながら強化する上で有効で,浄化ブロックは低水路の瀬や淵の創出を通じて,浄化ネットは植生の補助材として有機物および窒素除去能が期待できるものと考えられた。
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