研究課題
本研究で得られたの成果は次のとおりである。(1) 不確実性の源泉として入手可能なデータに制限がある問題を多変量解析における数量化分析II類を用いた環境中化学物質濃度の区間の推定という問題に帰着させて、全国の観測データの解析を行った。この解析から生産量、物理化学性状、用途といった通常入手できるデータから環境中濃度の区間推定の可能性を示した。(2) 特定の集水域を取り上げ、その場において用いられる農薬の流出モデルの構造を決めたとき、実測値と観測値の差をパラメータ値に起因すると仮定したときの解析をベイズの定理を基にして行った。この解析によって、いずれのパラメータの決定に際しての情報量を収集することが重要なのかの優先順位を明らかにすることができた。(3) 地理情報システムにおいて整備されている地表面情報を活用し、化学物質の曝露場の時空間解像度を改善すること(不確実性の低減)で得られる便益を明らかにした。また、このモデルの応用例として、流域場の境界条件が変化したときに化学物質の曝露濃度がどのように変化するのシナリオ分析を行い、最大値、75%確率値、平均値でもってその効果を明らかにした。
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