研究概要 |
ゴミの減量化と資源化の促進を目的として、生分解性プラスチックの分解加速化技術の開発を試み、前年度は、PVA(ポリビニルアルコール)-デンプン系プラスチックを取り上げ、その分解加速化に成功した。本年度は、主要な生分解プラスチックの一つとして注目されている酢酸セルロースプラスチックについて、その分解性の評価と分解促進手法を検討した。自然環境あるいは埋立処分場での分解を模した活性汚泥による分解試験の結果、重量減少は見られなかった。続いて、セルロース分解菌による分解を試みたところ、形状の破断が見られた。しかし、重量の減少は、置換度1.7で10%以下、置換度2.4で3%以下にとどまった。そこで、セルロースのβ-1,4結合を切断する酵素であるセルラーゼによる分解促進を試みた。その結果、置換度1.7のもので、20%の重量減少がみられ、分解の促進効果が確認された。しかし、置換度2.4のものでは、先の検討と同様に重量減少は3%以下にとどまり、置換基のエステル結合を切断するリパーゼを適用したが分解促進効果は見られなかった。これらのことから、特に置換度の高いものは、分解菌および分解酵素による処理が困難であることが示されたため、前処理として、紫外線照射の適用を試みた。その結果、酢酸セルロースフィルム(置換度2.4)の重量が大幅に減少し、これにセルロースを適用することで、60%の重量減少を達成した。分解が促進したフィルムの表面を顕微鏡で観察したところ、フィルム表面に亀裂が生じ、そこから分解が進行していることが推測された。以上の結果から、紫外線照射と分解酵素を適用することで、酢酸セルロースの分解を促進できることが明かとなった。
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