• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

瀬戸内沿岸の花崗岩文化圏の土木遺産の構造と形態

研究課題

研究課題/領域番号 09650603
研究種目

基盤研究(C)

研究機関岡山大学

研究代表者

馬場 俊介  岡山大学, 環境理工学部, 教授 (10111832)

キーワード石造構造物 / 巻石 / 巨石 / 水制 / 防波堤 / 樋門 / 瀬戸内海 / 花崗岩
研究概要

瀬戸内北岸の各県の調査を通じて、花崗岩産出地で特異的に見られる石造土木構造物を、(1)近世・近代を通じて河川・港湾施設の定型的パターンであった「巻石」、(2)近世の干拓樋門や橋桁・橋脚に使われた「巨石」の2種類に大別した。
「巻石」は、河川では高瀬舟の舟着場、水制、導流堤、洗堰などに用いられ、港湾では防波堤が主たる対象であったことが判明した。築造時期は江戸初期から大正・昭和戦前期まで広く分布し、また、岡山・山口を中心とするものの、熊本県ほか各地にも散見されることも判明した。巻石は、西洋の近代技術で造られる河川・港湾構造物が、コンクリートを主体とした直線的で人工的な印象の強い物体であったのに比べ、石で曲面を表現した柔和で自然に逆らわない日本独自のデザイン的成果と高く位置付けてよいとの確信も得られた。なお、曲面が採用された理由は、流水や波力の抵抗を減らすため、あるいは、荷役の容易さのためと推定される。
「巨石」は、石樋門、石桁橋、石刎橋、木桁橋の石橋脚、土木構造物以外では、鳥居や墓碑など近世で定番的に使われたもので、「巻石」が火山岩地帯の熊本にも多数分布しているのに比べ、僅かな例外を除いては、硬質の花崗岩地帯にしか分布していないことが判明した。同じ石造構造物でありながら、石樋門や石桁橋で使われる全長10mにも達する花崗岩の一本柱は、極めて雄壮で造形美溢れる素材であり、それがこの地方の地域性となっている。
本年度の研究は、2年計画の初年度であり、平成10年度には、瀬戸内海諸島の防波堤、有明海沿岸の防波堤と干拓樋門、天草諸島の石桁橋などの現地調査を継続的に行なうことで、調査全体の信頼性を上げることを予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 馬場俊介, 樋口輝久, 石原盛人: "岡山の農業用水門-児島湾干拓地と高梁川水系の用水路に残る土木遺産群" 土木史研究. 17巻. pp.227-234 (1997)

  • [文献書誌] 樋口輝久, 馬場俊介: "西日本石造文化圏における「巻石」構造物-岡山県を中心とした実態調査" 土木史研究. 18巻(発表予定). (1998)

  • [文献書誌] 馬場俊介(分担): "山口県の近代化遺産(山口県の近代土木,山口県の防波堤)" 山口県教育委員会, 印刷中 (1998)

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi