研究概要 |
相模川水系13地点におけるクリブトスポリジウム,ジアルジア,大腸菌,大腸菌群,嫌気性芽胞(推定ウェルシュ菌芽胞)および濁度に関する汚染実態調査を継続,昨年度分とあわせて1年間のデータを入手した。これらのデータを基に代替指標を単相関分析したところ,ジアルジア,クリブトスポリジウムのいずれも大腸菌群,大腸菌,嫌気性芽胞の3つの指標細菌との間に有意な相関が認められた。最も高い相関が認められたのは嫌気性芽胞で,寄与率は確定クリブトスポリジウムトの間でr^2=0.50,確定ジアルジアとの間でr^2=0.67であった。重相関分析では,目的変数がジアルジア,クリブトスポリジウムのいずれの場合も説明変数として選択されたのは嫌気性芽胞,好気性芽胞,大腸菌の3指標細菌で,それ以上説明変数を増加させても自由度二重調整寄与率の上昇は見られなかった。これらの結果から,クリブトスボリジウムやジアルジアによる汚染の可能性を代替指標細菌で評価する場合,単一指標としては大腸菌や大腸菌群よりも嫌気性芽胞が優れており,複数の指標細菌を選択する場合は嫌気性芽胞に加えて,好気性芽胞と大腸菌を選択するのが妥当と考えられた。 不活化技術に関しては,オゾンによる不活化を生育活性(脱嚢とPI排除能)と感染性(SCIDマウス)で評価した。その結果,感染性評価によるσ値は生育活性評価によるCT値に比べて小さく,感染評価による210g不活化CT値は3〜6mg・min/Lの範囲にあった。人への感染性は脱嚢やPI排除能といったオージスト壁の浸透性等の物理化学的性状に依存する方法よりも,より直接的な感染性評価に基づくのが妥当と考えられることから,水中のクリプトスポリジウムをオゾンにより不活化する場合のCT値は,210g不活化で3〜6mg-min/L、と考えてよいことが強く示唆された。
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