本テーマによる研究実績の1つは、衛星画像と地図を統合するにあたり、土砂災害危険に関連するアナログ地図の数値化を行ったことである。土砂災害の典型的な例である土石流災害は、急傾斜地に限らず緩慢な地形においても発生することが判明している。これらは、地形的な特徴の他に降雨、地質、植生などが関連していることが判明した。 研究の過程において、土石流災害に関与するアナログ地図を収集し、ディジタル化の作業をおこなった。これらの主なものは以下に示すような主題地図である。 ・地質図・地滑り防止区域図・急傾斜崩壊危険区域・保安林・植生図 ・砂防設備図・地滑り危険個所・雪崩危険個所・動植物貴重種分布図 ・鳥獣保護区図・植生自然度図・埋蔵文化財図・史跡など。 次に、計画流出土砂量を保持するための砂防ダムの設置箇所およびその規模を、周囲の環境を考慮してシミュレーションするシステムの開発をおこなった。そのために、地理情報システムソフトウエアを使用し、ディジタル化をおこなった地図の検索および表示が出来るようなカスタマイズ化の作業をおこなった。開発したシステムを用いて数値地図データと数値化された地図情報を統合し、自然環境を考慮した砂防ダム設置個所および設置個数の推定をおこなった。 これらの結果は、実際に計画(施工)された砂防ダムの設計仕様と比較をおこない、シミュレーション結果の妥当性の確認をおこなっている。
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