オゾンによる不活化実験を行なうに際して、オゾンの有効濃度のおおよその見当をつけるために、オゾン消毒以前の水処理の除去能力、オゾン消毒の効果についてできるだけ多くの情報を果めた。それに基づき、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium parvum)の不活化に関する基礎的知見を得ることを目的として脱嚢およびDAPI/PI染色の2つの方法を併用して、オゾンの不活化効果を検討した。Ct値は脱嚢試験に比べて、DAPI/PI染色試験のほうが大きくなった。脱嚢試験の場合、溶存オゾン濃度0.05〜0.5mg/lの範囲で、Ct値に差はほとんど見られず、90%不活化Ct値は約7〜8mg・min/lであった。溶存オゾン濃度0.5mg/lで得られた99%不活化Ct値はおよそ12mg・min/lであった。一方、DAPI/PI染色試験の場合には、溶存オゾン濃度0.05〜0.5mg/lの範囲における90%不活化Ct値は約7〜11mg・min/lとなり、脱嚢試験の場合よりばらつきが多かった。溶存オゾン濃度0.5mg/lにおける99%不活化Ct値は、約20mg・min/lであり、脱嚢試験による場合より明らかに大きな値であった。生残率と接触時間の関係もDAPI/PI染色試験と脱嚢試験の場合と異なり、脱嚢試験によって生残を測定した場合は、初期に遅滞期が見られる傾向があった。これらの予備的な消毒実験から、消毒抵抗性の強いクリプトスポリジウムはオゾンにより、濃度1〜2mg/l、接触時間10分間で消毒の目的が達成できる可能性があることがわかった。
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